ミャンマー国軍がクーデターで実権を掌握してから6月1日で4カ月となる。最大都市ヤンゴンでは国軍の厳しい弾圧により抗議デモが小規模化。軍事政権の監視下ではあるものの、市民生活は徐々に平常に戻りつつあるようだ。 【ビジネスマンに元スパイも】世界各国の指導者たち 「通りを走る車も増え、渋滞もある。だいぶ普段の生活に戻った」。ヤンゴンに住む会社経営者のミャンマー人男性(58)は電話取材にそう話した。 現在のデモは短時間で実施し、治安部隊が来る前に解散する「フラッシュ型」と呼ばれるスタイルが主流になった。デモを主催するNGO職員のミョーミンさん(25)によると、最近は週に2回、各地で数十人から数百人が集まるデモを実施。「抗議は続けるが、安全に配慮し、すぐに解散して逃げやすい場所を選ぶようになった」という。 職場を放棄して抗議の意思を示す「不服従運動」を続けていた人も多くが職場に戻ったとみられ、中心部のショッピングセンターや飲食店も再開している。 日本貿易振興機構(ジェトロ)ヤンゴン事務所によると、ミャンマーには400社以上の日系企業が進出。2月のクーデター直後は工場などが一時休業したが、4月以降はほぼ通常に戻ったという。日本が支援するヤンゴン郊外のティラワ経済特区の稼働率も8割強で、日系の縫製業者などが集まる工業団地も多くが稼働している。ただ通関手続きの遅れなどもあり、いったん経済活動が止まった余波は続いているようだ。 銀行業務も再開し、ヤンゴンの地元記者は「クレジットカード払いの取り扱いを再開する飲食店や小売店も出てきた」と話す。一方で現金は依然として不足しており、現金自動受払機(ATM)には今も長蛇の列ができているという。 治安が不安定な状況は続き、軍・警察の施設周辺では爆発騒ぎも頻発。地方はより深刻で、東部カヤー州や北西部チン州などでは国軍と地元武装勢力との戦闘が激化している。国連人道問題調整事務所によると、5月中旬以降、カヤー州で約3万7000人、チン州で数千人が避難民になったという。
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